2020年5月1日

4月7日に緊急事態宣言が発出されてから3週間が過ぎました。新型コロナウイルス感染症は収束する気配もなく外出自粛は依然継続しています。関東の1都3県では4月25日から5月6日までの12日間に「いのちを守るSTAYHOME週間」を制定して行動制限をさらに強化しました。美術館は全国的に臨時休館しています(ワタリウム美術館は週3日予約制で開館しています)。私たちは映画にもコンサートにもカラオケにも図書館にもレストランにも居酒屋にも行くことができません。最近では友人宅を訪ねることも憚られるようになりました。いままでわたしたちが体験したことがないような閉塞状況がさらに5月末まで延長されようとしています。

東京の子どもたちは全国に先駆けて3月2日から臨時休校になり、3月25日の終業式に久し振りに登校したかと思うと春休みになり、新学期が始まる前に緊急事態宣言が発出され、そのまま済し崩し的に臨時休校がつづいています。この3月2日は新型コロナ対策としてはかなり早く、中国では子どもの感染例が非常に少ない状況で学校がまず一斉休業に入りました。まだマスクをしてない人が多い満員電車に大人が耐えているなかで、すでに子どもたちは学校に行けなくなっていたのです。わたしは某都立高校の美術科の臨時教員として休校期間中も出勤していましたが、少なくない数の生徒が休校中の学校へ大した用事もないのに三々五々登校してくるのです。寂しそうな顔で「学校はいつ始まるんですか」と尋ねる生徒たちに対して教師はなにも応えることができません。わたしたち自身が自覚症状のないまますでに感染しているかもしれないという恐怖にかられているのです。サイレントキャリアがこのパンデミックの怖ろしさを相乗しているように思います。当初、画期的だと思われたクラスター包囲網をあざ笑うかのように一挙に拡大しているのです。

わたしたちは清潔な社会をめざしてきました。そして、それが達成されたかに思えた21世紀でいくつものウイルスに翻弄されてます。SARSよりも感染性が非常に高く、死亡者数はSARSを追い抜きました。SARSと遺伝子配列は似ているのに新型コロナは、不謹慎な言い方ですが、着実に進化し攻撃性を先鋭化しているように思えるのです。わたしたち人類が一刻も早く新型コロナウイルスを克服し、安心安全な社会を回復することを祈るのみです。